種類あれこれ。鉄骨階段は「用途」で決める。
ひとくちに「鉄骨階段」といっても、いろいろな種類の鉄骨階段があります。螺旋階段や鉄砲階段、折り返し階段(いってこい階段)などの仕様もそうですし、段板仕様、仕上げ方法、手摺のチョイスなどは「その鉄骨階段をどんな風に使うのか」で自由自在にできるのです。
「A地点からB視点へ移動するために軽トラックで行くのか、高級車で行くのか」は人それぞれ。私たち鉄工所が作る鉄骨階段を始めとする鉄製品も同じです。自由に選ぶことができます。
鉄骨階段の「用途」は「希望」から見えてくる
今回の写真の鉄骨階段は、某企業さまの社宅の非常階段として設置された鉄骨階段です。テーマは以下のようなものでした。
- 外部階段なのでサビが心配
- 費用が心配
- 家族も一緒に住むので安全性必要
- 社員が使うので実用性優先
上記のような鉄骨階段の用途が明確であると設計もしやすいです。これらのご希望に沿う鉄骨階段を製作施工していくことになります。
鉄骨階段の費用と実用性
費用についての工夫は「できるだけ現場施工費用を抑える」「鋼材の選択」で対処していきます。
工場でノックダウン(プラモデル状態)の形式で作り上げ、現場ではボルト締めをメインとした組立工事にすることで現場の施工時間を短縮し、施工費用を抑えます。
また、重機(クレーン)を使用することも大きいです。鉄骨階段が完成体に近い状態で搬入できるほど、現場での施工時間(費用)が短縮されます。重機を使えればそれが可能です。これは搬入経路や施工立地によっては重機が使用できない場合もあります。
また、鋼材の選択でも費用を抑えられます。鉄骨階段のステップをモルタル打設タイプではなく、チェッカープレートの曲げ加工材を使用します。モルタル打設タイプのステップというのは下の写真ような階段です。
鉄をコの字型に曲げて、お弁当箱のよう加工したステップにモルタルを流し込んでステップにするタイプです。割りとスタンダードなステップではありますが、鉄板だけのステップにしたほうが安くできます。実用性重視というご希望にも沿っています。
安全性とサビ対策
この社宅では社員の方のご家族もお住まいになるとのことで、小さなお子様もいらっしゃるとのことでした。このことから、手摺は縦格子にして手摺ピッチ(手摺同士の隙間の意味)も細かくしています。横格子だとお子さんが格子に登ってしまい、転落の恐れがあるからです。
サビの心配については、やはり外部階段の天敵といえると思いますが、これも実用性重視ということもあり溶融亜鉛メッキ処理(ドブ漬け)にしています。この溶融亜鉛メッキ処理をすることで耐候性が上がり、メッキ皮膜が鉄の酸化を防ぎ、サビに強くなります。
溶融亜鉛メッキのデメリットとして塗装仕上げが難しいことや、費用がかかるということでしょうか。ただ、今後の鉄骨階段のメンテナンス性を考えると、最初にメッキコーティングしていた方が中長期的に費用対効果の高い選択肢といえます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。鉄骨階段ひとつ考えても、お客様の用途やご希望、あるいはNGワードを踏まえてそれらの条件を満たすものを設計することが必要です。それができるのがオリジナル製品を製作する醍醐味ですね。
キーワードは「用途」です。ご自身の生活スタイルや使用方法に合わせて鉄骨階段を作っていきましょう!