螺旋階段工事はこう始まる。こう終わる。

螺旋階段はなんといっても弊社のフラッグシップのオリジナル製品です。鉄工所にもいろいろ種類(造船系とか板金系とか)があるのですが、私たちは「建築金物」というカテゴリーでして、主に建築現場が主戦場です。今回は螺旋階段がどのようにして始まり、終わるのかを順番に解説します。

螺旋階段工事はこう始まる。こう終わる。

螺旋階段

建築金物工事の中でも花形である螺旋階段は、その機能性も意匠性も、オーナー様の所有欲を満たす魅力的な製品です。

螺旋階段には完全オリジナル製品と半既製品とがあります。私たちが作るオリジナル製品は、飽くまでも生活の主軸である「建物の設計」を優先して作られます。

このことから、設計事務所様の設計図をもとに、改めて実装のための施工図を作ってミリ単位の設計に起こしていきます。CAD(建築図面の専用アプリケーション)を使います。設計工程はご注文を受理してから始めます。

螺旋階段の設計について。

螺旋階段の図面

打合せとラフを通して、設計図の承認をいただくまで2週間近く必要になることもありますが、それでも一点ものの螺旋階段ですから慎重に進めていきます。

承認された螺旋階段は自社工場で製作します。鋼材業者や一次加工業者などから材料やパーツを取り寄せ、設備のある工自社場の中で溶接して組み立てていきます。この工場での製作工程もやはり2週間くらいかかります。ここまでの工程が螺旋階段工事費用の半分以上を締めています。

螺旋階段の施工タイミングは「建て方」のとき。

重機に吊られる螺旋階段

建て方とは、建築業界では「建物の主要な構造物を組み立てる」という意味です。螺旋階段を完成体で施工する場合は、建物に屋根や外壁がついてしまうと邪魔になってしまいます。このため、螺旋階段の工事タイミングは「建物の建て方のタイミング」で行うことが多いです。

ラフタークレーンと螺旋階段

螺旋階段の重量は1フロア分でだいたい250kg前後ありますので、ラフタークレーンで吊りあげてもらいます。しかもこの螺旋階段は2フロア分ある大型螺旋階段なのです。

設置する建物とクレーンの間に電線がある場合は要注意です。慎重に迂回して設置場所まで運び込みます。

スラー・・スラー・・ちょいスラー・・

木造建て方時の螺旋階段工事

大工さん「スラー・・・ちょいスラー・・・はい!」
(訳「降ろして・・・そっと降ろして・・・OK!」

重機屋さん(クレーンオペレーター)と建物にいる大工さんの暗号のような掛け声。「玉掛け」という技能で使う合言葉のようなものです。

螺旋階段の設置。~ボルト編~

木造建物の室内に螺旋階段

ここまで緊張の搬入設置でした。さて、ここから螺旋階段を建物に取り付けていきます。実際には工事はここまでが大仕事(おおしごと)です。あとはじっくり螺旋階段のレベル(水平)や立ち(垂直)を見ながら施工していきます。

この踊り場部分の裏側で建物の構造部と貫通ボルトで縫い合わせ固定しています。

螺旋階段の設置。~溶接編~

螺旋階段のジョイント

ん?螺旋階段の柱の部分が空洞になっていますね?これはですね。ジョイントです。ここからまた上のパーツの螺旋階段を吊り下げて現地で溶接します。

螺旋階段の現地溶接

先ほどのジョイント部分に、別パーツとして作ってきた螺旋階段を組み合わせ、現地で溶接していきます。現地での溶接作業は養生や手間が増えて工事費用に加算される対象となります。

とはいえ現場は一期一会ですから、ベストな工事は多種多様。今回は現地溶接で大きな螺旋階段を設置することができました。

螺旋階段の設置。~アンカー編~

鉄骨の足元はアンカー固定

ケミカルアンカーとベースプレート

螺旋階段の足元にはベースプレートと呼ばれる四角形の鉄板がついております。このベースプレートには穴が空いており、設置面の地面に予め埋設したボルト(ケミカルアンカー)と接合します。

この小さな4つの穴にボルトを通して、溶接で組み立てて、貫通ボルトで接合する・・。螺旋階段の設置工事でこれらの工法を使って施工してき、工事は終わります。

螺旋階段を確かめてもらって完工。

いよいよ螺旋階段工事が終わりました。改めて大工さん(現場監督さん)に設置状況を確認してもらい、完工となります。

建て方時に施工された螺旋階段

今回は螺旋階段(鉄骨階段)の工事の進み方をご紹介しました。しかし工事現場は一期一会ですから、工事の流れの基本として考えてくださると幸いです。

また、この記事が建物オーナー様にとっても「工事工程の把握」の一助になればと思います。ぜひブックマークをお願いします(^^)