普通の階段と螺旋階段の設計上の違いとは

設置された螺旋階段を横から見ている
螺旋階段は、真っ直ぐな鉄骨階段と設計方法が異なります。全体の階高、ステップの数(割り付け)の考え方は同じですが、螺旋階段の設計で追加される条件は「頭がぶつからないか」です。

螺旋階段を使って登るとき、あるいは降りるとき、すぐ真上(頭上)に階上のステップがある場合があります。回り込みながら昇り降りするとき、頭をぶつけないような高さをキープしないといけません。

螺旋だからこそ、頭をぶつけないような高さで設計する

螺旋階段において、有効な高さがなかった場合にどうなると思います?頭をぶつけてしまいます。

登り始めから踊り場までが見える螺旋階段

また、螺旋階段のステップの幅も通常の鉄骨階段のそれとは異なります。詳しくは下記で解説します。

ステップの横幅が750mmの鉄骨階段と螺旋階段では、実際の有効幅が違って狭い

(そもそも階段の有効幅については法規制で決まっていますが、ややこしくなるのでここでは触れません)

螺旋階段の構造ゆえですが、螺旋階段には「芯柱(真ん中の背骨のような鉄柱部分)」があるために、あまりセンター寄りに歩けなくなります。また、ステップの外側ギリギリも歩けません。

つまり・・・

螺旋階段では無意識にステップの真ん中を歩いている

下から見上た螺旋階段の踊り場

螺旋階段を設計するときは最低でも有効幅50cm(片側通行・芯柱別・手摺別として)くらいは欲しいですね。また、今回の螺旋階段のように溶融亜鉛メッキにするケースが出てくると思います。この場合は、溶融亜鉛のメッキ槽(浴槽のようなもの)の大きさに合せて設計する必要があります。

完成形の螺旋階段を溶融亜鉛メッキのメッキ槽に漬ける場合は、その直径は120cm(1.2M)以内が目処

木製床材を使用したデザイン螺旋階段

もちろん、仕上げ塗装をする螺旋階段であればもっと大きく作れますし、ノックダウン式(プラムモデルのように作って現地でボルト等で組み上げる方法)、或いは両側通行で作るなればもっと大きく作れるわけです。

緩やかな円弧を描くササラプレートと手すり
長くなってしまいましたが、これが螺旋階段と普通の鉄骨階段の設計上の違いです。でもまず第一は「住む人がどう使いたいのか」が設計の出発点です。

心柱とステップの接合部
螺旋階段ありきの話はナンセンス(デザイン先行なら別)!簡単に付け替えたりできるものではないのでじっくり考えていきましょう!