工事予算が限られているのに、ついつい夢中になってしまった工事です。お客さんが「おお!すごい!」と喜んでくださると「よし!これもやっちゃおう!」が続いてしまった外部階段の屋根の劇的リニューアル!
◆ もくじ ◆
階段最上階の屋根を「良くしたいなぁ」
写真はリニューアル前です。
オーナー様からは「階段の屋根が古くなってきたら良くしたいなぁ」くらいのふんわりしたご相談でした。しかし打合せをしていくとだんだん鼻息が荒くなってきました。
- 洗濯物を干したりするのでプライバシーも守りたい!
- 立地上、風通しは良くしたい(強風も吹くため)
- 屋根の下を囲いたいけど、暗くしたくない
- 積もった雪がそのまま落下するので通行人の怪我が怖い
今回の階段屋根リニューアルにはこれだけの課題がありました。
これは工事前の階段最上階。
オーナー様にとって、このスペースを洗濯ものを干したりとプライベートな場所でもありました。
「波板もだいぶ老朽化してきたし、この屋根勾配だと積もった雪がすぐ落ちて下の通行人にぶつかりそうで恐いんです。プライベートでも使ってるし、もっと使い勝手も良くしたい。」
というご相談を受けて、階段屋根のリニューアル計画を作ってオーナー様と打合せを重ねます。
結果、下記のように劇的変身を遂げました。
アルミルーバーで屋根空間をシャープな外観に
階段屋根の空間をプライバシー空間にするために、側面はフレクサラム(ビルパネ)を採用。既存の鉄骨フレームを起点として下地を増設して、目隠しとして組み立てています。
フレクラサムはアルミ製ルーバーとしてビル屋上の設備の目隠しや、立体駐車場などで使われるメジャーな外装材です。
もちろん設置前に設置場所の確認をして、風への強度計算を経て適正な製品選択を行います。
建材メーカーに立地条件、設置条件を説明することで強度計算を行い、アルミルーバーの設置箇所として適切かどうかの強度計算書を作成します。
ルーバーは取付下地に「はめる」施工方法なのでビス固定などは行わないことから、強風などの条件に合わせた製品の選択が必要なのです。
屋根勾配をそのままに積雪落下リスクを減少
工事前の写真。
屋根勾配からして、屋根に積もった雪がそのまま下に落下してしまう恐れがあり、下を通行する人たちが怪我をするのではとオーナー様は心配しておられました。
勾配を緩くするために、コストをかけずに行った秘策が下記です。
屋根勾配の最後にさらに緩い勾配パーツをつけて積雪落下のリスクを軽減しています。こ
このやり方であれば、屋根下地の鉄骨はそのまま利用しているので工事費を抑えつつ、最後の緩い勾配のための下地鉄骨を増設するだけです。
風通しはそのままにプライバシーを確保する
工事前の写真。
手すりに波板をつけていましたが、向かいの建物からは丸見えに。この屋根空間をプライベートで使いたいオーナー様には不便な状況でした。
しかし、先ほどのアルミルーバーがつくことで・・・
なんということでしょう。そこに、しっかりプライバシーを守った空間が現れました。
(すみません、このフレーズ言いたかったのです)
アルミルーバーは「視線カット」に役立ちつつ、また通気性も高く、さらに外観もシャープになります。オーナー様も大変喜んでくださいました。
手すり部分は既存の波板を再利用。手すりから上の部分(側面も含めて)アルミルーバーを設置しています。
クリアのポリカーボネイト波板で採光性もOK
既存の波板は小波といわれる波目の小さい一般的なものを使っていましたが、今回のリニューアルでは従来よりも強度も厚みもある「大波」と呼ばれるポリカーボネイト波板を採用しています。
クリアの波板にしているので、採光性も確保されます。階段屋根の下も明るいまま。
通気性があり、採光性は確保。大きなプライベート空間の完成です。洗濯物も干し放題です・・・!
屋根は従来よりも横幅を大きくしました。アルミルーバーはその内側に収まっている形です。吹き来む雨にも対応できるように設計してあります。
エクステリアの屋根工事ひとつで、建物のグレードが格段にアップします。入居者様の満足感もオーナー様の満足感もアップします。
おまけ
鉄工所ならではの工夫。
玄関ドアを開けたときの踊り場スペースが狭かったので、足を踏み外さないよう、鉄板を使って踊り場を延長しました。(緑の部分は既存床。赤茶色の部分が延長スペース)
小さなご提案ではありますが、隠れたニーズもしっかりキャッチしますよ!